林業・植林の基礎知識!苗木の重要性や針葉樹・広葉樹の特徴を解説

林業・植林の基礎知識を解説!苗木の重要性や針葉樹・広葉樹の特徴とは

林業は、植林から育林、伐採に至るまで、長い年月をかけて森林資源を管理・利用していく産業です。健全な森林を育成し、木材などの林産物を持続的に生産するためには、適切な林業の知識と技術が不可欠となります。

とりわけ、林業の出発点となる植栽の工程では、樹種の選定から苗木の育成、そして植林の方法に至るまで、専門的なノウハウの習得が求められます。針葉樹と広葉樹では成長の特性が異なるため、目的に応じた樹種の選択と、それぞれに適した植栽方法を理解しておく必要があるでしょう。

こちらでは、これから林業に携わる方や山林経営に興味がある方に向けて、植栽を中心とした林業の基礎知識についてわかりやすく解説していきます。林業の現場で培われてきた知恵と経験則を参考にしながら、持続可能な森林管理の第一歩を踏み出すためのポイントを押さえていきましょう。

苗木の重要性とコンテナ苗のメリット

苗木の重要性とコンテナ苗のメリット

林業において苗木の選定は非常に重要です。「苗木半作」という言葉があるように、苗木の出来が収穫の価値の半分を決定するといわれています。林業は農業とは異なり、植栽してから数十年が経過しないと結果が分からないため、良質な苗木を使用することが良い山林を造るための必須条件となります。

従来、林業で使用される苗木は「ポット苗」が主流でした。しかし、ポット苗では根が側面や底面で回ってしまう「根巻き」という問題が指摘されています。根巻きした状態で植栽すると、育成中に根が締め付け合い、苗の成長に悪影響を及ぼしてしまうのです。

そこで開発されたのが「コンテナ苗」です。コンテナ苗は硬質樹脂製の多孔容器で育成された「鉢付き苗」で、細長い根鉢に根が伸張、充満することでコルク栓のような形に成型されます。容器内にはリブと呼ばれる突起物があり、側面に接触した根を下へ誘導するため、根巻きの問題を解決できます。さらに、「根鉢」と呼ばれる状態で植栽するため、植栽後も問題なく成長しやすいというメリットがあります。

長い時間をかけて育成する樹木は、最初から良質な苗でなければ、良質な木材を量産し続けることはできません。そのため、低コストで優良な苗木の量産が課題となっています。苗木の育成には種から苗にするまで2~3年の月日を要するため、林業の工程の中でもコストカットが難しい部分でしたが、コンテナ苗は従来のポット苗よりも低コストで量産することが可能です。そのため、林野庁でも積極的な取り組みを推奨しています。

健全な苗木を選定し、適切な管理を行うことが、持続可能な林業経営の第一歩となるのです。

針葉樹と広葉樹の特徴

針葉樹と広葉樹の特徴

針葉樹と広葉樹は、林業において代表的な樹種の分類です。両者の苗木にはそれぞれ特徴があります。

針葉樹の苗木は、一般的に成長が早く、主幹がまっすぐ伸びる傾向があります。細い枝が少なめで、伐採時の作業効率が良いという利点もあります。針葉樹の代表例としては、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツなどが挙げられます。

一方、広葉樹の苗木は針葉樹と比べると成長が遅い傾向にあります。枝は太く多めで、横方向に広がりやすい特徴があります。ただし、ミズナラやシラカバなど、木目が美しく高級材として扱われる樹種も広葉樹に多くみられます。

このように、針葉樹と広葉樹の苗木にはそれぞれ特徴があり、植栽する際にはその特性を理解したうえで、目的に合わせた樹種選びが重要となります。

林業の育林プロセス

1.苗木の栽培

林業の始まりは、畑での苗木の栽培です。山に植えるまでに2~4年ほどかけて丁寧に育てます。

2.植え付け

植える土地に適した種類の木を選びます。一般的に春が植え付けの最適期です。人工林では、育ちが早くまっすぐ伸びる針葉樹(スギ、ヒノキなど)が中心です。

3.下刈・つる切

苗木の成長を妨げる雑草を刈り(下刈)、つるを切る(つる切)作業を、苗木が育つまでの5~8年間、年1~2回行います。雑草の成長が盛んな暑い時期が作業のピークです。

4.除伐

植えた木の周りに自然に生えた木や、育成見込みのない木を切り払います。

5.間伐

植栽から15~20年で、木々の間隔が詰まり、日光不足で成長が阻害されます。そこで、間引きにより本数を減らします。間伐を怠ると細長い木ばかりになり、強い風や雪で倒れやすくなります。木材利用できるまで、5~6年または数年おきに繰り返し間伐します。

6.主伐

成木を木材として収穫します。一斉に全伐する方法と、部分的に伐採し、新しい苗木を植える方法があります。後者では若い森林が残り、森林の機能が維持されます。

持続可能な林業経営のために

計画的な植林と育林サイクル

持続可能な林業経営のためには、計画的な植林と育林のサイクルが重要です。林業は投資から回収までのサイクルが長く、30年以上の長期にわたります。そのため、できるだけ短期間で収穫できるよう、成長の早い針葉樹が植林に選ばれる傾向にあります。

例えば、十勝のカラマツは成長が早く、35年程度で主伐することも可能です。一方、広葉樹は一般的に成長が遅く、伐採適期に達するまでに樹齢100年以上かかるものも珍しくありません。ミズナラなどは500年以上の樹齢のものもあります。

このように、林業経営では収穫までの期間を考えた計画的な植林が不可欠です。さらに、下刈りや間伐などの育林作業を適切に行い、健全な森林を育てていくことが求められます。計画的な植林と育林サイクルによって、持続可能な林業経営を実現していく必要があるでしょう。

生態系と環境への配慮

持続可能な林業経営を行うためには、生態系と環境への配慮が不可欠です。人工林を主伐した跡地には、針葉樹の代わりに広葉樹を植林することで、自然と永続的に更新する自然林への移行を促すことができます。自然林には、以下のようなメリットがあります。

  • 根が深く土壌が強くなるため、斜面崩壊を防ぐ
  • 様々な植生によって動植物の多様性が豊かになる
  • 落葉が腐葉土となり土壌を豊かにする
  • 腐葉土が分解されてできるフルボ酸鉄が川から海に流れ、海の豊かさにつながる
  • 花粉症の原因となる花粉が飛ばない

このように、針葉樹から広葉樹への植え替えを進めることで、生物多様性の保全や土砂災害の防止、海洋生態系への貢献など、環境保全の観点からも大きな意義があるのです。

苗木生産販売・植林育林事業のことなら株式会社グリーンベースへ

林業は長期的な視点に立った持続可能な経営が求められます。計画的な植林と育林サイクルを確立し、木材の安定供給と収益性の確保を目指す必要があります。

同時に、森林の多面的機能にも配慮が欠かせません。水源涵養(かんよう)や生物多様性の保全、CO2吸収など、生態系サービスを十分に発揮できる森づくりが重要です。

また、林業の担い手不足や木材価格の低迷など、林業が抱える構造的な課題の解決も急務です。森林所有者に対する支援策の拡充や、スマート林業の推進による生産性の向上、国産材の需要喚起など、多角的なアプローチが求められます。

林業の健全な発展は、地方創生や脱炭素社会の実現にも寄与します。森林資源を活かした新たなビジネスの創出や関連産業との連携など、林業の可能性は大きく広がっています。林業の未来を切り拓くためにも、官民一体となった取り組みが期待されます。

株式会社グリーンベースでは、山林用苗木の生産販売を行っています。スギ、ヒノキ、クロマツ、クヌギ、コナラ、ケヤキなど徳島県内で採取した樹種を中心に、マルチコンテナキャビティを使用して栽培しています。

また、植栽放棄地再生や伐採跡地の植林など、植林育林事業もトータルにサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

四国初の災害対策ドローン物流は株式会社グリーンベース

商号 株式会社グリーンベース
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